kamonasubiのブログ

我が履歴書

Kevin氏 インタビュー

都内の某高級ホテル。

 

大きな荷物を背負った青年が、えらく低姿勢でフロントを通り過ぎエレベーターへ向かう。

 

「チン」

 

エレベーターのドアが開く。

 

さっきまでのぺこぺこしていた青年は

キチンとシワを伸ばされた白衣に身を包み

姿勢をピシッと伸ばしスタスタと歩き出した。

どことなく髪型も整えられ、ツヤも増したように見える。

 

「コンコン」

手首のスナップを利かせ部屋の扉をノックする青年。

 

Good evening, It’s a pleasure to meet you.』

 

そう、彼は都内の夜に現れ、世界中の名だたる顧客から指名される若き日本人はり師。人々は彼を「Kevin(仮名)」と呼ぶ。

 

そんな彼も駆け出し時代、様々な苦労話があったと我々取材陣に重い口を開いてくれた。

 

 

『出張を始めた頃は大変でした。一番大変だったのはゲイの方でした』

 

独立開業をした頃は依頼があればどんな方の元へも走りました。

施術前に怪しい何かを飲まれ寝られる方や「施術はいいから普通に話すだけでいい」というご老人。

 

ある女性のご自宅で施術をしているところ急に「先生!!!!隠れて!!!!」と言われ、突然鬼気せまる表情の男性が入ってこられ「おんどれ誰じゃぼけーー!!!」と不倫相手と間違われ胸倉を掴まれ、誤解が解けるまでベランダで待機していた。ということもありました。

 

「昼間の患者様」とは丸っきり違う「夜の患者様達」に慣れてきた頃事件が起こりました。

 

某県の高層マンション最上階でのご依頼。

世界的に有名な「クリエイター」とのことで大豪邸。

 

彼はバスローブに身を包み、革張りのソファで脚を組み私に言いました。

「私はよくマッサージを依頼するんだよ、時には女の子を2人ほど呼んでマッサージをさせるんだ。」「部屋に飾っている下着姿のマネキン達はガールフレンドが置いていったのさ、私に浮気をさせないためにね」

 

『・・・・そうですか』と答え施術を始めました。

 

主訴は「臀部の違和感」

私はてっきり、長時間のデスクワークによる臀部の血行障害による症状と疑い

通常通りの処置をとりました。

 

念入りに凝り固まった筋肉をほぐし停滞した血流改善に専念しました 

すると彼はこう言ったのです

 

「もっと内側だよ」

 

『この辺りですか?(仙骨の際辺り)』

「もっと下のもっと内側だよ」

 

『この辺りですか?(尾骨付近)』

「もっと下だよ・・・・・・・」

 

 

『・・・・・・・』

 

 

私は危機を感じそれ以上は行わず(当たり前ですが)「臀部の筋肉を弛めるという処置」に留まり仕事を終えました。どんな形であれ要望にこたえなかった私、医療という立場ですが一種のサービス業の一面もあります。当然不満を言われると覚悟していましたが彼は、のそっと起き上がりこう言ったのです。

 

「君の指の当たりはとても気持ちがいい、君のことを気に入った、来週もきてくれるかい?」

 

私は(ああ!変なことをせずともキチンとした処置をすれば気持ちが伝わったのだ!)と大いに喜び、約束の次週、再度伺いました。

 

 

「コンコン」

 

 

「・・・・ どうぞーーーーーーあいてますーーー(どこか遠い声で)」

 

『(???)失礼します』

靴を脱ぎキチンとそろえて部屋に上がりました。

 

『ご依頼いただきありが.....』

 

私はそこで人生で一番えげつない光景を見てしまったのです

 

なんと彼が全裸の四つんばいで、私を迎えるように構えていました

「待っていたよ Kevin君。。。」

 

 

 

『うっ。。。。』

 

あまりものショックな光景にぼくは耐え難い声を漏らしすぐその場を立ち去りました。

まるで小さな子羊が大きな獣から逃れる様に、無力に必死に。

 

『ぐえええええッぐえええ。。ぐっ。。』

なんとも言えない気持ちが混じった涙と嘔吐物が私の顔から、一気にあふれ出しました。

 

あのときは若かったのもあり、とてもショックな出来事でしたね。

今ならもう少し大人な対応ができそうな気がしますが(苦笑)

 

当時の苦労をまるで笑い話のように語る Kevin氏
『人は本当に様々ですよ、性格も症状もね』

 

楽な仕事はないんだなと、感じた取材でした。