父2
父が病室で退屈だろうと思い、ブログの記事をメールで送った。
「感想をいいたいから見舞いにきてや」
病室には自分の若い頃の写真が飾られていて、看護婦さんと仲良く話していた。
「鴨、あの小説は何やあ?寿司を食べにいってなんでアメリカに行くんやあ?父には理解しがたい」
父の話は続いた
「わしもな今までの人生を執筆しようと思ってるんや、巧みな文章でな一つ一つキチンと書き記していくんや、今まで出会った人達や住んだ場所とか、父が行ってきたことを書き記してな、それを新聞に投稿したりしようと思う。まず雅号を考えんといけんな、何かいいのはあるかいな?」
『そうだね、お父さんも隠居したようなもんだし、石舟斎とはかどうかな?あとは海舟とか』
「うん、それがええなあ、わしの人生にピッタリの名前やな。父の読みではきっと人気が出るはずやで」
『そっか、応援しているよ』
「ありがとうな」
ぼくは病院をあとにした